さて 世にありと人 041

2020-09-20☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第3章10

さて 世にありと人に知られず さびしくあばれたらむ葎の門に 思ひの外にらうたげならむ人の 閉ぢられたらむこそ 限りなくめづらしくはおぼえめ

さて よ/に/あり/と/ひと/に/しら/れ/ず さびしく/あばれ/たら/む/むぐら/の/かど/に おもひ/の/ほか/に/らうたげ/なら/む/ひと/の とぢら/れ/たら/む/こそ かぎりなく/めづらしく/は/おぼエ/め

エ:や行の「え」

(左馬頭)はてさて、そんな人がこの世にいるとは誰にも知られず、さびしく荒果てたような草深い家に、予想以上に愛らしい感じの人が、余儀なく隠れ住んでいるとしたら、それこそ限りなくすばらしいことだと思えましょう。

ここがPoint

伏線の張り方

頭中将の発言が、「にぎははしきによるべきななり/02-037」と光源氏に揶揄されて終わってしまったのを受け、社会的地位や資産がなくても魅力のある女性がいることを左馬頭が説く。後の夕顔ほかの女性の登場の伏線になっている点で重要な発言である。こうした伏線は物語の主要人物でない左馬頭の発言だからよいのであって、一般に解釈されているように頭中将の発言と考えると、夕顔の当事者でもあるから作為的になってしまう。

帚木 注釈 第3章10

あばれたらむ 02-041

荒廃した。昔物語にあるパターン。

思ひの外に 02-041

予想よりさらに上。

らうたげ 02-041

かわいい。

閉ぢられたらむ 02-041

「られ」は、受身であり、自分の意志によるのではなく、外的条件が働いてそうしむけられているニュアンスをもつ。「閉づ」は他動詞。

語りの対象&構造型

対象:世に知られぬ女発言者(左馬頭)

思ひの外にらうたげならむ人の・閉ぢられたらむこそ》D・E
予想以上に愛らしい感じの人が、余儀なく隠れ住んでいるとしたら、それこそ


限りなくめづらしくはおぼえめ》F
限りなくすばらしいことだと思えましょう。

分岐型:A<(B<(C<(D<)))E<F:A<E<F、B<E、C<E、D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:こそ…はおぼえめ/四次

さて 世にあり に知られず さびしくあばれたらむ葎の門 思ひの外らうたげならむ〈人〉の 閉ぢられたらむ 〈[こと]〉こそ 〈[私=発言者]〉限りなくめづらしくはおぼえめ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐