容貌きたなげなく若 帚木04章09

2021-03-28

原文 読み 意味

容貌きたなげなく若やかなるほどの おのがじしは塵もつかじと身をもてなし 文を書けどおほどかに言選りをし 墨つきほのかに心もとなく思はせつつ またさやかにも見てしがなとすべなく待たせ わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど 息の下にひき入れ言少ななるが いとよくもて隠すなりけり

02055/難易度:☆☆☆

かたち/きたなげ/なく/わかやか/なる/ほど/の おのがじし/は/ちり/も/つか/じ/と/み/を/もてなし ふみ/を/かけ/ど/おほどか/に/ことえり/を/し すみつき/ほのか/に/こころもとなく/おもはせ/つつ また/さやか/に/も/み/て/し/がな/と/すべなく/また/せ わづか/なる/こゑ/きく/ばかり/いひよれ/ど いき/の/した/に/ひきいれ/ことずくな/なる/が いと/よく/もてかくす/なり/けり

(頭中将)器量がわるくなく若々しい年頃で、自分自身では塵ほどの難点もなきよう身を処し、手紙を書く場合にもおっとりした言葉を選び、墨色は心持ち薄く相手に気を持たせたり、また直接会いたいものだと詮ない思いで待たせ、か細い声を何とか聞こうと側に言い寄っても、息の下に声をひっこめ言葉数少ないのが、まっこと見事にアラを隠すものです。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • が…もて隠すなりけり 三次元構造

容貌きたなげなく若やかなるほど おのがじしは塵もつかじと身をもてなし 文を書けどおほどかに言選りをし 墨つきほのかに心もとなく思はせつつ またさやかにも見てしがなすべなく待たせ わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど 息の下にひき入れ言少ななる いとよくもて隠すなりけり

助詞と係り受け

容貌きたなげなく若やかなるほどの おのがじしは塵もつかじと身をもてなし 文を書けどおほどかに言選りをし 墨つきほのかに心もとなく思はせつつ またさやかにも見てしがなとすべなく待たせ わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど 息の下にひき入れ言少ななるが いとよくもて隠すなりけり

容貌きたなげなく若やかなるほどの おのがじしは塵もつかじと身をもてなし 文を書けどおほどかに言選りをし 墨つきほのかに心もとなく思はせつつ またさやかにも見てしがなとすべなく待たせ わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど 息の下にひき入れ言少ななるが いとよくもて隠すなりけり

「若やかなるほどの…言少ななる」:AのB連体形(「の」は主格)


「おのがじしは塵もつかじと身をもてなし」「文を書けどおほどかに言選りをし」「墨つきほのかに心もとなく思はせ」(並列)→「つつ」→(「また」)→「が」


「さやかにも見てしがなとすべなく待たせ」「わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど息の下にひき入れ言少ななる」(並列)→「が」


「わづかなる声」→「ひき入れ(言少ななる)」

古語探訪

おほどか 02055

おっとりと。

心もとなく 02055

気がかり。

またさやかにも見てしがな 02055

手紙でははっきりしなくて、じれったいので、直に会いたいという気持ちになる。

〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景

頭中将の身勝手な女性論 02055

この発言は、頭中将「ただうはべばかりの情けに手走り書き をりふしの答へ心得てうちしなどばかりは 随分によろしきも多かりと見たまふれど そもまことにその方を取り出でむ選びにかならず漏るまじきはいと難しや/02018」と同じであり、頭中将の発言と考えられる。ここでは、身の振る舞い方・手紙の書き方・声の出し方の三点で、女が本性を隠すとする。

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