その品々やいかに  029

2020-09-17☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木,分岐型,分配型

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第2章21

その品々やいかに いづれを三つの品に置きてか分くべき 元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき また直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる そのけぢめをばいかが分くべきと 問ひたまふほどに 左馬頭藤式部丞御物忌に籠もらむとて参れり

その/しなじな/や/いかに いづれ/を/みつ/の/しな/に/おき/て/か/わく/べき もと/の/しな/たかく/むまれ/ながら み/は/しづみ/くらゐ/みじかく/て/ひとげなき また/なほびと/の/かむだちめ/など/まで/なり/のぼり われはがほ/にて/いへ/の/うち/を/かざり/ひと/に/おとら/じ/と/おもへ/る その/けぢめ/をば /いかが/わく/べき/と とひ/たまふ/ほど/に ひだり-の-むまのかみ/とう-しきぶのじよう/おほむ-ものいみ/に/こもら/む/とて/まゐれ/り

(光源氏)その上中下とはどうなの。誰をどこにおいて区分すればいいんだ。もともと高い身分に生まれながら、身はおちぶれ位が低くくて人以下の暮らしをしてたり、また普通の身分から上達部なんかにまでなり上がり、得意満面で屋敷内を飾りたて人に負けまいと気を張るのと、その境目はどう分けたらよいのか、と光の君が問うているところに、左馬頭と藤式部丞が物忌みで籠ろうとして参内してきた。

解釈の決め手

その品々やいかに:論争の濫觴

光源氏の提案は、カテゴリカルなもので議論のための話題作りという感じがする。実際、この質問内容から、かつて栄光にあった貴族の没落や、地位は高くないが資産のある受領など、品という静的な区分から、品をまたがる動的な話題へと変わってゆく。夕顔・若紫など、生涯にわたり光源氏に影響をおよぼす女性の多くが、この没落貴族であることを考えると、この議論はその予兆となっている点で重要である。雨夜の品定め中、光源氏がまともに発言したのはこの個所だけであり、そのことからも作者はここに力点を置いていることが想像される。

帚木 注釈 第2章21

分くべき 02-029

他動詞で、分ける。「分かるべき/02-026」は自動詞。

位みじかくて 02-029

身分が低い。

直人 02-029

貴族の出でない人。

語りの対象&構造型

対象:頭中将没落貴族新興勢力光源氏左馬頭・藤式部丞

その品々やいかに・いづれを三つの品に置きてか分くべき》A・B
その上中下とはどうなの。誰をどこにおいて区分すればいいんだ。

元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき》C
もともと高い身分に生まれながら、身はおちぶれ位が低くくて人以下の暮らしをしてたり、

また直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる》D
また普通の身分から上達部なんかにまでなり上がり、得意満面で屋敷内を飾りたて人に負けまいと気を張るのと、

そのけぢめをばいかが分くべき と・問ひたまふほどに》E・F
その境目はどう分けたらよいのかと 光の君が問うているところに、

左馬頭藤式部丞御物忌に籠もらむとて参れり》G
左馬頭と藤式部丞が物忌みで籠ろうとして参内してきた。

分岐型・中断型・分配型:(AφBφCφDφ*A+*B+*C+*D+E)<F<G:A、B、C、D、*A+*B+*C+*D+E<F<G

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:に…とて参れり/六次

の〈品々〉やいかに 〈[頭中将よ]〉いづれ三つの品に置きてか分くべき 〈[女]〉元の品高く生まれ ながら 〈身〉は沈み〈位〉みじかくて 人げなき また〈直人〉の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾りに劣らじ と思へる そのけぢめをばいかが分くべき  〈[光源氏]〉問ひたまふほど 〈左馬頭藤式部丞〉 御物忌に籠もらむ とて参れり

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「人げなき」と「思へる」は「けぢめ」に係るため連体形。


「置きてか分くべき」は係助詞「か」により結びは連体形。


「いかが分くべき」の「いかが」は元「いかにか」であり、係助詞「か」が隠れているため、結びは連体形となっている。

係り受け&主語述語

「元の品高く生まれながら 身は沈み位みじかくて人げなき」「直人の上達部などまでなり上り 我は顔にて家の内を飾り人に劣らじと思へる」(並列)→「そのけぢめ」


「そのけぢめ」:「元の品…人げなき」と「直人の…思へる」との「けぢめ」