取るかたなく口惜し 025
目次
帚木 原文 かな書き 現代語訳 第2章17
取るかたなく口惜しき際と 優なりとおぼゆばかりすぐれたるとは 数等しくこそはべらめ
とる/かた/なく/くちをしき/きは/と いう/なり/と/おぼゆ/ばかり/すぐれ/たる/と/は かず/ひとしく/こそ/はべら/め
(頭中将)取り柄がなくくだらない女と、申し分なしと思われるほどすぐれた女性とは、希少な点では同じでしょうが、
帚木 注釈 第2章17
口惜し 02-025
残念な、つまらない。
優なり 02-025
最上。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:見所のない女/上の品の女/頭中将の推量
《取るかたなく口惜しき際と・優なりとおぼゆばかりすぐれたるとは》A・B
取り柄がなくくだらない女と、申し分なしと思われるほどすぐれた女性とは、
《数等しくこそはべらめ》C
希少な点では同じでしょうが、
分岐型:A+B<C:A+B<C
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
情報の階層&係り受け
大構造(と…とは数等しくこそはべらめ/三次〈取るかたなく口惜しき際〉と 〈優なりとおぼゆばかりすぐれたる〉とは 数等しくこそはべらめ
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「優なりとおぼゆばかりすぐれたる」で読者は藤壺を思い浮かべることになる。
係り受け&主語述語
「数等しくこそはべらめ」:「こそ…已然形(特に推量の助動詞)」は逆接で後ろにつづく。後ろに主情報がくる。