いと聞きにくきこと 帚木02章23
目次
原文 読み 意味
いと聞きにくきこと多かり
02031/難易度:☆☆☆
いと/ききにくき/こと/おほかり
何とも聞いていて呆れてしまう議論が多くございました。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- 多かり 二次元構造
〈[頭中将の議論]〉いと聞きにくき〈こと〉多かり
助詞と係り受け
いと聞きにくきこと多かり
古語探訪
いと聞きにくきこと多かり 02031:解釈の多様性
いくつか解釈が可能な表現である。議論が女性論なので女の身として耳が痛いという解釈が一般的である。源氏物語を読み聞かせている相手は中宮など上流貴族なので、彼女たちに対する前置きでもある。。しかし、そうしたコメントは物語の筋を補足する働きをしていない点で弱い。
「いと聞きにくきこと」の主体を議論全体とせず、頭中将の発言に限定すれば、別の解釈が成り立つ。文の流れとしても、前文の「中将待ちとりて…争ふ」を受けると考える方が自然である。頭中将はがんばって左馬頭に議論をふっかけたが、議論として聞くに耐えるものではなく、すぐにまるめこまれてしまった。頭中将と光源氏は年齢的にも女性経験においてもさほど違いがあるわけではない。頭中将はここでも滑稽な役割を割り振られたのだ。