近き御厨子なる色々 010
帚木 原文 かな書き 現代語訳 第2章02/源氏物語
近き御厨子なる色々の紙なる文どもを引き出でて 中将わりなくゆかしがれば
ちかき/みづし/なる/いろいろ/の/かみ/なる/ふみ-ども/ひきいで/て ちうじやう/わりなく/ゆかしがれ/ば
手元の御厨子に入っている様々な色の紙に書かれた手紙を引き出して、中将がむやみに読みたがったところ、
帚木 注釈 第2章02
御厨子 02-010
調度品や書物などをしまう戸棚。
文 02-010
手紙。
わりなく 02-010
割り切れなさから生じる感情。そんな権利もないのにやけに、むやみやたらと。
ゆかしがれ 02-010
単に読みたいだけでなく、その恋文が届いた背景、相手のことなど漠然と知りたい意味をふくむ。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:頭中将
《近き御厨子なる色々の紙なる文どもを引き出でて》A
手元の御厨子に入っている様々な色の紙に書かれた手紙を引き出して、
《中将わりなくゆかしがれば》B
中将がむやみに読みたがったところ、
直列型:A<B:A<B
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
大構造(ゆかしがれば/二次)& 係り受け
近き御厨子なる色々の紙なる文どもを引き出でて 〈中将〉わりなくゆかしがれば
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「ゆかしがれば」→「許したまはね(ば)/02-011」→「(見所はあらめと)怨ずれ(ば)/02-012」→「とり隠したまひつ/02-014」