片端づつ見るにかく 帚木02章06

2021-03-28

原文 読み 意味

片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

02014/難易度:★☆☆

かたはし-づつ/みる/に かく/さまざま/なる/もの-ども/こそ/はべり/けれ/とて こころあて/に それ/か/かれ/か/など/とふ/なか/に いひあつる/も/あり もてはなれ/たる/こと/を/も/おもひよせ/て/うたがふ/も/をかし/と/おぼせ/ど ことずくな/にて/とかく/まぎらはし/つつ とり/かくし/たまひ/つ

ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • ど…言少なにて…紛らはしつつとり隠したまひつ 五次元構造

〈[頭中将]〉片端づつ見る かくさまざまなる〈物ども〉こそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなか 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて〈疑ふ〉もをか しと思せ 〈[光源氏]〉言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

助詞と係り受け

片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

「疑ふ」は緑だが、「言ひ当つるもあり」と揃えるために青とした。

「言ひ当つるもあり」:連用中止法


「怨ずれば/02012」→026「言少なにてとかく紛らはしつつとり隠したまひつ」

古語探訪

片端づつ見る 02014

手紙の全文を読まずに、部分部分を流し読みすること。

心あて 02014

当てずっぽう。

疑ふもの「も」 02014

この「も」は「言いあつるもあり」の「も」を受ける。後には「ありて」などの省略がある。

〈テキスト〉を紡ぐ〈語り〉の技法

連用中止法 02014

「問ふなかに言ひ当つるもあり」は係る先がないので、「終止形で文が終わる」と考えるか、「連用形で文は終わるが意味的に次に続く」と考えるかの二択となる。文の終止であれば、「片端づつ見るに…言ひ当つるもあり」は文に欠落要素がないため、挿入となる。「もて離れたる」以下と位相が異なってしまう。しかし、「片端づつ見る」の結果が「もて離れたる」に影響を与えているので、意味的につながりのある連用終止と考えると自然である。なおまた、連用終止の場合、その後ろに重要表現が出てくる。この場合「言ひ当つる」ことよりも、「もて離れたる」に光源氏の関心が向いている。文のストレスからも連用中止法を支持する。

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