片端づつ見るに か 014 ★☆☆

2020-09-17★☆☆:語義の洗い直しから02 帚木,分岐型,分配型

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第2章06

片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

かたはし-づつ/みる/に かく/さまざま/なる/もの-ども/こそ/はべり/けれ/とて こころあて/に それ/か/かれ/か/など/とふ/なか/に いひあつる/も/あり もてはなれ/たる/こと/を/も/おもひよせ/て/うたがふ/も/をかし/と/おぼせ/ど ことずくな/にて/とかく/まぎらはし/つつ とり/かくし/たまひ/つ

ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。

ここがPoint

連用中止法

「問ふなかに言ひ当つるもあり」は係る先がないので、「終止形で文が終わる」と考えるか、「連用形で文は終わるが意味的に次に続く」と考えるかの二択となる。文の終止であれば、「片端づつ見るに…言ひ当つるもあり」は文に欠落要素がないため、挿入となる。「もて離れたる」以下と位相が異なってしまう。しかし、「片端づつ見る」の結果が「もて離れたる」に影響を与えているので、意味的につながりのある連用終止と考えると自然である。なおまた、連用終止の場合、その後ろに重要表現が出てくる。この場合「言ひ当つる」ことよりも、「もて離れたる」に光源氏の関心が向いている。文のストレスからも連用中止法を支持する。

帚木 注釈 第2章06

片端づつ見る 02-014

手紙の全文を読まずに、部分部分を流し読みすること。

心あて 02-014

当てずっぽう。

疑ふもの「も」 02-014

この「も」は「言いあつるもあり」の「も」を受ける。後には「ありて」などの省略がある。

語りの対象&構造型

対象:頭中将物(手紙)光源氏

片端づつ見るに・ かくさまざまなる物どもこそはべりけれ とて》A・B
ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、


心あてに それかかれかなど問ふなかに》C
当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに、


言ひ当つるもあり・もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふ もをかしと思せど》D・E
言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、


言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ》F
言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。

分岐型・中断型・分配型:A<(B<)C<D<|*C<E<F:A<C<D、B<C、*C<E<F CはAの言い換えに近い

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:ど…言少なにて…紛らはしつつとり隠したまひつ/五次

〈[頭中将]〉 片端づつ見る  かくさまざまなる〈物ども〉こそはべりけれ とて 心あてに それかかれかなど 問ふなか 言ひ当つるもあり  もて離れたることをも思ひ寄せて 〈疑ふ〉もをか し と思せ  〈[光源氏]〉言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「疑ふ」は緑だが、「言ひ当つるもあり」と揃えるために青とした。

係り受け&主語述語

「言ひ当つるもあり」:連用中止


「怨ずれば/02-012」→026「言少なにてとかく紛らはしつつとり隠したまひつ」