心深しや などほめ 068
帚木 原文 かな書き 現代語訳 第5章07
心深しやなどほめたてられて あはれ進みぬればやがて尼になりぬかし
こころ/ふかし/やなど/ほめ-たて/られ/て あはれ/すすみ/ぬれ/ば/やがて/あま/に/なり/ぬ/かし
(左馬頭)仏道心が深いですねなどとほめたてられ、感情がつのればそのまま尼になったりもして。
帚木 注釈 第5章07
心深し 02-068
愛情が深いのであれば、夫の元へ戻る方向に作用するだろう。尼になる方向からすると仏道心の深さを言うのだろう。出家をすすめる者が、あちこちにいたと思われる。
あはれ 02-068
気持ちのたかぶり。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:女
《心深しやなどほめたてられて》A
仏道心が深いですねなどとほめたてられ、
《あはれ進みぬれば・やがて尼になりぬかし》B・C
感情がつのれば、そのまま尼になったりもして。
直列型:A<B<C:A<B<C
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
情報の階層&係り受け
大構造(ば…になりぬかし/二次
〈[女]〉心深しやなどほめたてられて あはれ進みぬれば やがて尼になりぬかし
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
この文は「心一つに思ひあまる時は、海づらなどにはひ隠れぬるをり/02-065」から挿入を挟んでつづく。「海辺などに隠れているときに、関心な仏道心ですねなどとほめられると…」という続き具合。