また まめまめしき 058 ★★☆

2021-01-2302 帚木01章~06章,分岐型,反復型

またまめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき家刀自の 原文 読み 意味 帚木第4章12/源氏物語

また まめまめしき筋を立てて 耳はさみがちに 美さうなき家刀自の ひとへにうちとけたる後見ばかりをして 朝夕の出で入りにつけても 公私の人のたたずまひ 善き悪しきことの目にも耳にもとまるありさまを 疎き人にわざとうちまねばむやは 近くて見む人の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばやと うちも笑まれ涙もさしぐみ もしはあやなきおほやけ腹立たしく心ひとつに思ひあまることなど多かるを 何にかは聞かせむと思へば うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ あはれともうち独りごたるるに 何ごとぞなどあはつかにさし仰ぎゐたらむは いかがは口惜しからぬ

また まめまめしき/すぢ/を/たて/て みみ/はさみがち/に びさう/なき/いへとうじ/の ひとへ/に/うちとけ/たる/うしろみ/ばかり/を/し/て あさゆふ/の/いでいり/に/つけ/て/も おほやけ/わたくし/の/ひと/の/たたずまひ よき/あしき/こと/の/め/に/も/みみ/に/も/とまる/ありさま/を うとき/ひと/に/わざと/うち-まねば/む/や/は ちかく/て/み/む/ひと/の/ききわき/おもひ/しる/べから/む/に/かたり/も/あはせ/ばや/と うち/も/ゑま/れ/なみだ/も/さしぐみ/もし/は/あやなき/おほやけ-はらだたしく/こころ/ひとつ/に/おもひあまる/こと/など/おほかる/を なに/に/か/は/きか/せ/む/と/おもへ/ば うち-そむか/れ/て/ひと/しれ/ぬ/おもひいでわらひ/も/せ/られ あはれ/と/も/うち-ひとりごた/るる/に なにごと/ぞ/など/あはつか/に/さし-あふぎ/ゐ/たら/む/は いかが/は/くちをしから/ぬ

(左馬頭)また一方で、実直一点張りに髪を耳に挟みがちにして美しく顔づくることもない主婦が、ひたすら無遠慮な世話焼きばかりをして、朝な夕な出仕の行き帰りにつけても、公私にわたる世人の様子よかれあしかれ耳目にとまった諸事情を、仲のよくない女にわざわざ打ち明けたりするでしょうか、身近に暮らし聞き分け思いやりのある妻にこそ語りかけたいものなのに、つい笑えることでも泣かれることでも、あるいは非道のあまり公憤を覚え胸先ひとつにおさめておけないことなど多々あるものを、どうかして語り聞かせようと思えば、決まってそっぱを向かれ、こちらの知り得ない思い出し笑いを浮かべられては、ああとため息も出ようものなのに、なんですのなどと間抜けた顔でこっちをふり仰ぎでもしようものなら、何とまあ情けないことでしょう。

大構造(はいかがは口惜しからぬ/五次)& 係り受け

またまめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき〈家刀自〉の ひとへにうちとけたる後見ばかりをして 〈[男]〉朝夕の出で入りにつけても 公私の人のたたずまひ 善き悪しきことの目にも耳にもとまるありさまを 疎き人わざとうちまねばむやは/ 〈[男]〉近くて見む〈人〉の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばや うちも笑まれもさしぐみ もしはあやなきおほやけ腹立たしく心ひとつに思ひあまる〈こと〉など多かる 何にかは聞かせむ 思へば うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ 〈[男]〉あはれともうち独りごたるる 何ごとぞなどあはつかにさし仰ぎゐたらむ いかがは口惜しからぬ

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「また」:「なのめなるまじき後見の方」として禁止事項の二点をつなぐ。一点は「もののあはれ…なくてもよかるべし」、もう一点は「まめまめしき…口惜しからぬ」。


「家刀自の」(主格)+「うちとけたる後見ばかりをして」「うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ」「何ごとぞなどあはつかにさし仰ぎゐたらむ」(並列の述語)


「朝夕の出で入りにつけても公私の人のたたずまひ善き悪しきことの目にも耳にもとまるありさまを疎き人にわざとうちまねばむやは」:挿入


「近くて見む人の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばやと」「うちも笑まれ涙もさしぐみもしはあやなきおほやけ腹立たしく心ひとつに思ひあまることなど多かるを何にかは聞かせむと」(言い換え)→「思へば」


「人の聞きわき思ひ知るべからむ」:AのB連体形(主格「の」)


「あやなきおほやけ腹立たしく」「心ひとつに思ひあまる」(並列)→「ことなど多かる」


「うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ」:「れ」は自発(受身では085の述語が並列にならない)

帚木 注釈 第4章12

まめまめしき筋を立て 02-058

実直さを貫く。

美さうなき 02-058

化粧しない。

うちとけたる後見 02-058

日常の世話。男女の仲には遠慮が大事なのだろう。

うちまねばむやは 02-058

聞いてきたことをそのまま言葉にしたりするだろうか、いやしない。

何かは聞かせむ 02-058

その前には、こんな女っ気のない女房ではが省略されている。

あはつかに 02-058

浅はかさ。

いかがは口惜しからぬ 02-058

反語、とても残念でならない。

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:美さうなき家刀自発言者(左馬頭)思いやりある妻

またまめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき家刀自のひとへにうちとけたる後見ばかりをして》A
また一方で、実直一点張りに髪を耳に挟みがちにして美しく顔づくることもない主婦が、ひたすら無遠慮な世話焼きばかりをして、


朝夕の出で入りにつけても公私の人のたたずまひ善き悪しきことの目にも耳にもとまるありさまを疎き人にわざとうちまねばむやは》B
朝な夕な出仕の行き帰りにつけても、公私にわたる世人の様子よかれあしかれ耳目にとまった諸事情を、仲のよくない女にわざわざ打ち明けたりするでしょうか、


近くて見む人の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばやと》C
身近に暮らし聞き分け思いやりのある妻にこそ語りかけたいものなのに、


うちも笑まれ涙もさしぐみもしはあやなきおほやけ腹立たしく心ひとつに思ひあまることなど多かるを何にかは聞かせむと・思へば》D・E
つい笑えることでも泣かれることでも、あるいは非道のあまり公憤を覚え胸先ひとつにおさめておけないことなど多々あるものを、


うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ・あはれともうち独りごたるるに》F・G
どうかして語り聞かせようと思えば、決まってそっぱを向かれこちらの知り得ない思い出し笑いを浮かべられては、ああとため息も出ようものなのに、


何ごとぞなどあはつかにさし仰ぎゐたらむは・いかがは口惜しからぬ》H・I
なんですのなどと間抜けた顔でこっちをふり仰ぎでもしようものなら、何とまあ情けないことでしょう。

分岐型・中断型・反復型:A<([B<]C~CD<E<)F<G<H:A<F<G<H、B、C~CD<E<F

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

2021-01-2302 帚木01章~06章,分岐型,反復型

Posted by 管理者