かならずしもわが思 053 ★☆☆

2021-01-2302 帚木01章~06章

かならずしもわが思ふにかなはねど 原文 読み 意味 帚木第4章07/源氏物語

かならずしもわが思ふにかなはねど 見そめつる契りばかりを捨てがたく思ひとまる人は ものまめやかなりと見え さて 保たるる女のためも 心にくく推し量らるるなり

かならずしも/わが/おもふ/に/かなは/ね/ど みそめ/つる/ちぎり/ばかり/を/すて-がたく/おもひ/とまる/ひと/は ものまめやか/なり/と/みエ さて たもた/るる/をむな/の/ため/も こころにくく/おしはから/るる/なり

エ:や行の「え」

(左馬頭)必ずしもこちらの望みに添うのではないが、ひとたび結んだ夫婦の契りを棄てがたく愛情を注ぎつづける男は誠実を地でゆくものと見え、そうなればこそ 縁を保たれる女性も世間から奥ゆかしく人だと思われるのです。

大構造(は…と見え/四次も…推し量らるるなり/三次)& 係り受け

〈[女]〉かならずしもわが思ふにかなはね 見そめつる契りばかりを捨てがたく思ひとまる〈人〉は ものまめやかなりと見え さて保たるる〈女〉のため 心にくく推し量らるるなり

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「思ひとまる人はものまめやかなりと見え」「さて保たるる女のためも心にくく推し量らるる」:対の表現


「と見え」:連用中止法

物語の深部を支える重要語句へのアプローチ

思ひとまる人:思いがその場に定着する

「棄てるのを思いとどまる」の意味で解釈されているようだが、思ひ(愛情)が他の女性に移らない、とどまっている。先に出た「心とまる/02-042」が愛情がわく意であったように、「とまる」はじっとしている、そこに根付くの意味。

前後の文脈および文の背景

男の真価

先の頭中将の発言「わが力入りをし直しひきつくろふべき所なく/02-052」に対して、「わが思ふにかなはねど」と否定していることから、発言者が左馬頭に替わったことが確認できる。頭中将は女性がこうあってほしいと要求するのに対して、左馬頭は男側の誠実さを問題にしている点に相違が見られる。指を喰う女の件で左馬頭が失敗した一番の原因は、どんなに無理強いしても相手は受け入れるに違いないと考えた左馬頭の誠実さの欠如にあった。

帚木 注釈 第4章07

ものまめやか 02-053

誠実そのもの。

さて 02-053

「さありて」の略。おとこがまめに見える、そうあってこそ、女も奥ゆかしく世間から見られるの意味。

保たるる 02-053

男が「思ひとまる」状態で縁がつづく。男から愛想づかしされず愛情を注がれ続けられる。

心にくく 02-053

奥ゆかしい。

推し量らるる 02-053

「推し量る」は根拠のある推量。

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:誠実な男

かならずしもわが思ふにかなはねど》A
必ずしもこちらの望みに添うのではないが、


見そめつる契りばかりを捨てがたく・思ひとまる人は・ものまめやかなりと見え》B・C・D
ひとたび結んだ夫婦の契りを棄てがたく、愛情を注ぎつづける男は、誠実を地でゆくものと見え、


さて保たるる女のためも・心にくく推し量らるるなり》E・F
そうなればこそ 縁を保たれる女性も、世間から奥ゆかしく人だと思われるのです。

中断型:A<B<C<D<|E<F:A<B<C<D、E<F

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

2021-01-2302 帚木01章~06章

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