さるは いといたく 002

2020-09-16☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第1章02

さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

さるは いと/いたく/よ/を/はばかり まめだち/たまひ/ける/ほど なよびか/に/をかしき/こと/は/なく/て かたの-の-せうしやう/に/は/わらは/れ/たまひ/けむ/かし

その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。

解釈の決め手

さるは:副詞と接続詞では意味が異なる

接続詞で、前の内容をくつがえす時に用いる。「その実」「実際には」などの意味。前文で、もの言いさがない人が語り伝えたという「忍びたまひける隠ろへごと/02-001」に対して、実際にはそんなことはないと切り返してゆく。

帚木 注釈 第1章02

いたく 02-002

ひどく。

まめだち 02-002

まじめな様子。

なよびか 02-002

「まめだち」の反対、つやっぽい。

をかしき 02-002

興味をひく。

交野少将 02-002

散逸した物語の主人公とされており、恋の達人であったことになっている。

語りの対象&構造型

対象:光源氏交野少将

さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて》A
その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、


交野少将には 笑はれたまひけむかし》B
恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。

直列型:A<B:A<B

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:には笑はれたまひけむかし/三次

さるは 〈[光源氏]〉いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしき〈こと〉はなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「さるは」→「(…をかしきことは)なく(て)」


「いといたく世を憚り」「まめだちたまひける」(並列)→「ほど」


「…まめだちたまひけるほど」「なよびかにをかしきことはなく」(並列)→「て」


「なよびかに」「をかしきことは」(並列)→「なくて」