げにさし向ひて見む 060

2020-09-21☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木,分岐型

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第4章14

げにさし向ひて見むほどは さてもらうたき方に罪ゆるし見るべきを 立ち離れてさるべきことをも言ひやり をりふしにし出でむわざのあだ事にもまめ事にも わが心と思ひ得ることなく深きいたりなからむは いと口惜しく頼もしげなき咎や なほ苦しからむ

げに/さしむかひ/て/み/む/ほど/は さても/らうたき/かた/に/つみ/ゆるし/みる/べき/を たち-はなれ/て/さるべき/こと/を/も/いひやり をりふし/に/しいで/む/わざ/の/あだごと/に/も/まめごと/に/も/わが/こころ/と/おもひ-うる/こと/なく/ふかき/いたり/なから/む/は いと/くちをしく/たのもしげ/なき/とが/や なほ/くるしから/む

(左馬頭)なるほど差し向かいで暮らす間は、至らぬ点もかわいさに免じ大目にも見れましょうが、離れ離れでは大事なことも人づてになり、時節時節欠かせぬことなんかでも私的であれ公ごとであれ、自分の問題として考えようとせず心遣いが行き届かないのは、何とも情けなく頼みにならない難点であって、やはり心配の種でしょうな。

ここがPoint

話者の決め手

頭中将の前言「ただひたふるに子めきて柔らかならむ人を・とかくひきつくろひてはなどか見ざらむ」を否定することから、左馬頭の発言だとわかる。

帚木 注釈 第4章14

さし向ひ 02-060

いっしょに暮らす場合で「立ち離れて」と結婚形態が違う。

さても 02-060

そのままでも、つまり至らぬことがあっても。

さるべきこと 02-060

そうすべきこと、大事なこと。

わざ 02-060

大事なこと。

あだ事 02-060

娯楽など非公的なこと。

まめ事 02-060

公的なこと。

わが心 02-060

自分の大事なこと。心は大切な点。

いたり 02-060

行き届き。

語りの対象&構造型

対象:男(発言者)

げにさし向ひて見むほどは・ さてもらうたき方に罪ゆるし見るべきを》A・B
なるほど差し向かいで暮らす間は、至らぬ点もかわいさに免じ大目にも見れましょうが、


立ち離れて・さるべきことをも言ひやり》C・D
離れ離れでは大事なことも人づてになり、


をりふしにし出でむわざのあだ事にもまめ事にも・わが心と思ひ得ることなく深きいたりなからむは》E・F
時節時節欠かせぬことなんかでも私的であれ公ごとであれ、自分の問題として考えようとせず心遣いが行き届かないのは、


いと口惜しく頼もしげなき咎や・ なほ苦しからむ》G・H
何とも情けなく頼みにならない難点であって、やはり心配の種でしょうな。

分岐型・中断型:A<B<(C<D<E<F<)[G<]H:A<B<H、C<D<E<F<H、G

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:を…は…なほ苦しからむ/五次

〈[男]〉げにさし向ひて見むほど さてもらうたき方に罪ゆるし見るべき  立ち離れてさるべきことをも言ひやり をりふしにし出でむわざのあだ事にもまめ事にも 〈[女]〉わが心と思ひ得ることなく深きいたりなからむ  /いと口惜しく頼もしげなき 咎や/ なほ苦しからむ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「立ち離れてさるべきことをも言ひやり」:かかるところがなく、形は中止法だが、意味がない。文法的に可能なのは「をりふしに出でむ」と並列である。「立ち離れてさるべきことをも言ひやり あだ事にもまめ事にもわざのをりふしにし出でむ[折りに]」を変形して作られる。「をも」「にも…にも」が呼応しているため、実質てきには、「も言ひやり」は「も言ひやるにも」として逆接の働きになっている。非文法的ではあろうが、生き生きした口語表現と考える方がいいだろう。