童にはべりし時 女 066

2021-01-1102 帚木01章~06章

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第5章05

童にはべりし時 女房などの物語読みしを聞きて いとあはれに悲しく心深きことかなと涙をさへなむ落としはべりし 今思ふには いと軽々しくことさらびたることなり

わらは/に/はべり/し/とき にようばう/など/の/ものがたり/よみ/し/を/きき/て いと/あはれ/に/かなしく/こころふかき/こと/かな/と/なみだ/を/さへ/なむ/おとし/はべり/し いま/おもふ/に/は いと/かるがるしく/ことさらび/たる/こと/なり

(左馬頭)子供時分、侍女などが物語りを読むのを聞いて、たいそう心打たれ悲しくなんと情の深いことかと涙まで落としたものですが、今に思えばいかにも浅はかでわざとらしい所業です。

ここがPoint

お涙ちょうだいモノ

純情路線の女が耐えるだけ耐えて、ある一線を越えたら隠れてしまい、何かのきっかけで尼になったりする、昔物語にありがちなパターンの女性に対する、左馬頭の批判。おそらく当時、安易に尼になる女性が増えていたのだろう。

帚木 注釈 第5章05

ことさらびたる 02-066

わざとらしい。

心深きことかな 02-066

後の「心深しや/02-068」と呼応する。この言葉がきっかけとなって尼になる決意をする。男への愛情が深い。それだけに業も深い。

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:発言者(左馬頭)

童にはべりし時・女房などの物語読みしを聞きて・いとあはれに悲しく心深きことかなと涙をさへなむ落としはべりし》A・B・C
子供時分、侍女などが物語りを読むのを聞いて、たいそう心打たれ悲しくなんと情の深いことかと涙まで落としたものですが、


今思ふには・いと軽々しくことさらびたることなり》D・E
今に思えばいかにも浅はかでわざとらしい所業です。

中断型:[A<B<C]φ[D<E]:A<B<C、D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

大構造(をさへなむ落としはべりし/三次φことなり/三次

〈[左馬頭]〉/童にはべりし時 女房などの物語読みしを聞きて いとあはれに悲しく心深きことかなと涙をさへなむ落としはべりし/ /今思ふには いと軽々しくことさらびたることなり

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

挿入の定義は下記のとおり。「/02-065と/02-068」の間にあり、主語述語など文の要素の欠如がない。従って、この二文はそれぞれ挿入である。

係り受け&主語述語

「童にはべりし時…落としはべりし」:挿入


「今思ふには…ことさらびたることなり」:挿入

挿入の定義再び

一、文頭・文中・文末を問わず、ある文の中に入っている(主節が別にあるということ)。
二、文の要素に欠落がない(欠落があれば修飾要素、欠落がないから主節から独立できる)

2021-01-1102 帚木01章~06章

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