すべて にぎははし 037 ★☆☆

2021-01-2302 帚木01章~06章

すべてにぎははしきによるべきななりとて笑ひたまふを 原文 読み 意味 帚木第3章06/源氏物語

すべて にぎははしきによるべきななり とて 笑ひたまふを 異人の言はむやうに 心得ず仰せらると 中将憎む

すべて にぎははしき/に/よる/べき/な/なり とて わらひ/たまふ/を ことひと/の/いは/む/やう/に こころえ/ず/おほせ/らる/と ちゆうじやう/にくむ

(光源氏)何でも富んでることを基準にすべきみたいだねと冷やかしになるので、あなたらしくもなくもののわからぬおっしゃりようだ、と中将はなじる。

大構造(と…憎む/五次)& 係り受け

〈[男性]〉すべてにぎははしきによるべきななり 〈[光源氏]〉とて笑ひたまふ  〈異人〉の言はむやう 心得ず 仰せらる と〈中将〉憎む

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「(とて)笑ひたまふを」→「憎む」

物語の深部を支える重要語句へのアプローチ

すべてにぎははしきによるべき:金がものを言う世の中

「よる」は「寄る」と「拠る」が考えられる。「寄る」は「誰れかはすかされ寄りはべらむ/02-024」とあり、言い寄るの意味である。「拠る」はもともとの女性論の出発点である「まことにその方を取り出でむ選び」や、その言い換えである「選り出でつべき」が候補となる。いずれにしろ、遊び相手ではない妻(正妻、本妻)を選ぶ際の基準の意味となる。「にぎははし」は豊かな様。要するに妻選びの基準は金なのだという揶揄。

異人の言はむやうに:品定めの間中示される光源氏の関心のなさ

別人が言うように、すなわち普段の光源氏ではない言い方の意味ではない。他人事(ひとごと)のように言う。結婚相手を探すという男性にとって最大の関心事を話しているのに、まじめに会話に加わろうとせず、外から物を言うような口ぶり(「ななり」に端的に表れている)に、頭中将は気分を害しているのだ。

憎む:ポーズとして

すねてみせた程度のポーズであり、さして強い意味はないだろう。光源氏にすれば、「思ひかけぬ幸ひとり出づる例」はまさしく母のことであり、混ぜ返したくなるのも無理はない。もっとも議論に夢中になっている頭中将にすれば、他人事みたいに言うけど、あなたのことでもあるんだ、もっと身を入れて聞けよとでも言いたいところであろう。

帚木 注釈 第3章06

ななり 02-037

断定の「なり」に伝聞の「なり」がついたもの。断定の「なり」の音便に伝聞の「なり」がついたもの。「なんなり」が元の形。「なるなり」という形が元とされているが、そう表記はほとんどないという。意味としては実質は推量表現とされる。

心得ず仰せらる 02-037

真意を得ない、ひねくれた受け取り方をなさいますねとの意味。

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:世の男光源氏頭中将

すべてにぎははしきによるべきななり・とて笑ひたまふを》A・B
何でも富んでることを基準にすべきみたいだね、と冷やかしになるので、


異人の言はむやうに・心得ず・仰せらる・と中将憎む》C・D・E・F
あなたらしくもなく、もののわからぬおっしゃりようだと中将がなじる。

分岐型:A<B<(C+D<E<)F:A<B<F、C+D<E<F

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

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