うち合ひてすぐれた 帚木03章08

2021-03-29

原文 読み 意味

うち合ひてすぐれたらむもことわり これこそはさるべきこととおぼえて めづらかなることと心も驚くまじ

02039/難易度:★☆☆

うちあひ/て/すぐれ/たら/む/も/ことわり これ/こそ/は/さるべき/こと/と/おぼエ/て めづらか/なる/こと/と/こころ/も/おどろく/まじ

(頭中将)立ち居も気品も家柄に似つかわしいく上々なのが世のことわり、これなどはそうあるのが当然と思われるから、めずらしいことだと心中驚くにあたらない。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • と…も驚くまじ 三次元構造

〈[血統と評判]〉うち合ひてすぐれたらむもことわり 〈これ〉こそはさるべき こととおぼえて めづらかなることと〈心〉も驚くまじ

助詞と係り受け

うち合ひてすぐれたらむもことわり これこそはさるべきこととおぼえて めづらかなることと心も驚くまじ

「さるべきこととおぼえて」「めづらかなることと心も驚くまじ」:並列

古語探訪

うち合ひ 02039:何と何がぴったりか

それにふさわしい(/02038の注参照)。何と何が「うち合」ふのかが問題で、諸注は前に「うち合ひ」と称された「もとの品時世のおぼえ」をもってくるが、それは娘ではなく、娘が属する家の話。また「もとの品時世のおぼえ」と並列関係にある「やむごとなき」を無視するのも、文構造を無視した解釈である。ここは家柄よく世評もすぐれたご令嬢なら必ず備わっておくべき資質である「(内々の)もてなしけはひ」である。この二つともにすぐれていて当然だとの論理展開である。

さるべきこと 02039

そうあるのが当然。

〈テキスト〉を紡ぐ〈語り〉の技法

中止法とは 02039

中止法を中にはさんだ一文「A|B」と二つの文「A B」とは、情報の流れとしては「A=A、B=B」で変わりはない。しかし、中止法は「前の情報より後の情報が重要である」とのメッセージをふくむのに対して、二つの文に情報の優劣はない。この点、両者は様相を異にする。
中止法は慣性の法則と考えるとわかりやすい。それまで情報が流れていたものが、急にブレーキがかかるので前につんのめる。情報は移動しないが、重心が前方に移動する分、情報の重要度が増すのである。文学的表現では余韻という。

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