うち合ひてすぐれた 帚木03章08

2021-04-30

〈テキスト〉を紡ぐ〈語り〉の技法

中止法とは 02039

中止法を中にはさんだ一文「A|B」と二つの文「A B」とは、情報の流れとしては「A=A、B=B」で変わりはない。しかし、中止法は「前の情報より後の情報が重要である」とのメッセージをふくむのに対して、二つの文に情報の優劣はない。この点、両者は様相を異にする。
中止法は慣性の法則と考えるとわかりやすい。それまで情報が流れていたものが、急にブレーキがかかるので前につんのめる。情報は移動しないが、重心が前方に移動する分、情報の重要度が増すのである。文学的表現では余韻という。

耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉

語りの対象:その娘発言者(頭中将)

分岐型・中断型:A→|B→C+D:A、B→C+D

うち合ひてすぐれたらむもことわり》A
立ち居も気品も家柄に似つかわしいく上々なのが世のことわり、


これこそは・さるべきこととおぼえて・めづらかなることと心も驚くまじ》B・C・D
これなどはそうあるのが当然と思われるから、めずらしいことだと心中驚くにあたらない。

  • 〈直列型〉:修飾 :倒置 
  • 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
  • 〈中断型〉//:挿入 :文終止・中止法
  • 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
  • 〈分配型〉A→B*A→C

 A→B:AはBに係る
 Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む
 ※直列型は、全型共通のため単独使用に限った

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