思ひ立つほどはいと 069
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて世に返り見すべくも思へらず 原文 読み 意味 帚木第5章08/源氏物語
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
おもひたつ/ほど/は/いと/こころ/すめ/る/やう/にて よ/に/かへりみ/す/べく/も/おもへ/ら/ず
(左馬頭)思い立った当座はとても心が洗われた感じがして、すこしも後悔すべくも思われない。
大構造(も思へらず/三次)& 係り受け
〈[女]〉思ひ立つほどは いと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「はべりし/02-066」「ことなり/02-066」「ことなり/02-067」「なりぬかし/02-068」「思へらず/02-069」「など言ふ/02-070」「うちひそみぬかし/02-071」「見たまひつべし/02-072」「漂ひぬべくぞおぼゆる/02-073」と短文で現在形が用いられている。事実を積み重ねることで説得力をもたせるゆく語り口である。
「世に返り見すべくも思へらず」:文の終止
帚木 注釈 第5章08
思ひ立つ
出家を思い立つ。
世に返り見す
世間に立ちかえる。還俗する。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:女
《思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて・世に返り見すべくも思へらず》A・B
思い立った当座はとても心が洗われた感じがして、すこしも後悔すべくも思われない。
直列型:A<B:A<B
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用