やむごとなくせちに 013

2021-01-2302 帚木01章~06章

やむごとなくせちに隠したまふべきなどは 原文 読み 意味 帚木第2章05/源氏物語

やむごとなくせちに隠したまふべきなどは かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置き散らしたまふべくもあらず 深くとり置きたまふべかめれば 二の町の心安きなるべし

やむごとなく/せち/に/かくし/たまふ/べき/など/は かやう/に/おほぞう/なる/みづし/など/に/うちおき/ちらし/たまふ/べく/も/あら/ず ふかく/とりおき/たまふ/べか/めれ/ば にのまち/の/こころやすき/なる/べし

相手が尊くてどうしてもお隠しになるべき手紙などは、このように大雑把なものである厨子などに、置き放し人目にさらしておおきになるはずもなく、奥の方に取ってお置きでしょうから、二流どこの見られて平気なものなのでしょう、

大構造(ば…二の町の心安きなるべし/三次)& 係り受け

〈[光源氏]〉やむごとなくせちに〈隠したまふべききなど〉は かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置き散らしたまふべくもあらず 深くとり置きたまふべかめれ 〈[この場の手紙]〉二の町の心安きなるべし

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「べくもあらず」は同色でよいが、挿入の出口で色を合わせるために、色分けした。

「やむごとなく…二の町の心安きなるべし」(挿入):頭中将が見る手紙に対するコメント。


「かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置き散らしたまふべくもあらず」→「深くとり置きたまふべかめれ(ば)」:「二の町の心安きなるべし」と語り手が判断する理由。

物語の深部を支える重要語句へのアプローチ

やむごとなくせちに隠したまふべきなど:ドラマチック・アイロニー

これは六条の御息所の手紙や、特に藤壺の宮の手紙を示唆する。もちろんそれらの女性と光源氏が道ならぬ恋にあることを、頭中将は何も知らない。しかし、主人公はもちろんのこと聞き手もその関係性を知っているために、頭中将の言葉に別の意味が加わってくる。頭中将は無自覚であるだけに、平気で光源氏の心の中に土足で踏み込んでくるところにドラマ性が生じる。これをドラマチック・アイロニーと呼ぶ。頭中将は、狂言回しの役を宛てがわれる一方で、光源氏の心の暗部を照らす役割をし、また「中の品」の女性に対する道を開く[補02-001]参照。

帚木 注釈 第2章05

おほぞうなる 02-013

そこらにあるの意味。具体的には御厨子のような簡単に引き出せる隠し場所。

二の町 02-013

一流の相手ではないとの意味。

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:光源氏この場にある手紙

やむごとなくせちに隠したまふべきなどは》A
相手が尊くてどうしてもお隠しになるべき手紙などは、


かやうにおほぞうなる御厨子などに うち置き散らしたまふべくもあらず》B
このように大雑把なものである厨子などに、置き放し人目にさらしておおきになるはずもなく、


深くとり置きたまふべかめれば・二の町の心安きなるべし》C・D
奥の方に取ってお置きでしょうから、二流どこの見られて平気なものなのでしょう、

分岐型:A<(B<)C<D:A<C<D、B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

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