長雨晴れ間なきころ 005

2020-09-16☆☆☆:特別な問題点はない02 帚木,分岐型

帚木 原文 かな書き 現代語訳 第1章05

長雨晴れ間なきころ 内裏の御物忌さし続きて いとど長居さぶらひたまふを 大殿にはおぼつかなく恨めしく思したれど よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに調じ出でたまひつつ 御息子の君たちただこの御宿直所の宮仕へを勤めたまふ

ながあめ/はれま/なき/ころ うち/の/おほむ-ものいみ/さしつづき/て/いとど/ながゐ/さぶらひ/たまふ/を おほいどの/に/は/おぼつかなく/うらめしく/おぼし/たれ/ど よろづ/の/おほむ-よそひ/なにくれ/と/めづらしき/さま/に/てうじ-いで/たまひ/つつ おほむ-むすこ/の/きみたち/ただ/この/おほむ-とのゐどころ/の/みやづかへ/を/つとめ/たまふ

長雨が晴れる間もない時節、内裏の物忌みがうち続いていつにもまして長居なさるのを、大臣方では待ちわびて恨めしくお思いであったが、それでもご装束万端どれもふたつとないような仕立てに誂えておあげになり、ご子息たちの方ではただこの君の御曹司にばかり出仕なされた。

帚木 注釈 第1章05

長雨 02-005

五月雨。

内裏の御物忌 02-005

帝の物忌みで、宮中全体が謹んで部屋に籠る。光源氏も自分の曹司である桐壺の局でじっとしている。伊勢物語の初段が諒闇であったことと呼応する。

いとど 02-005

ますます、いつも以上に。

おぼつかなく 02-005

待ちわびる思い。

御よそひ 02-005

婿の衣装。

御宿直所 02-005

母がもともと住んでいた桐壺を光は私室として利用している。左大臣の子息(頭中将)は、長雨の無聊をかこってそこへ遊びにきている。

語りの対象&構造型

対象:天候光源氏左大臣頭中将ほか

長雨晴れ間なきころ  内裏の御物忌さし続きて  いとど長居さぶらひたまふを》A
長雨が晴れる間もない時節、内裏の物忌みがうち続いていつにもまして長居なさるのを、


大殿にはおぼつかなく恨めしく思したれど》B
大臣方では待ちわびて恨めしくお思いであったが、


よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに調じ出でたまひつつ》C
それでもご装束万端どれもふたつとないような仕立てに誂えておあげになり、


御息子の君たちただ この御宿直所の 宮仕へを勤めたまふ》D
ご子息たちの方ではただこの君の御曹司にばかり出仕なされた。

分岐型・中段型:A<(B<C|)D:A<D、B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:ど…調じ出でたまひつつ/四次ただ…を勤めたまふ/五次

長雨晴れ間なきころ 〈内裏の御物〉忌さし続きて 〈光源氏〉いとど長居さぶらひたまふ  〈大殿〉 にはおぼつかなく恨めしく思したれ  よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに調じ出でたまひつつ 〈御息子の君たち〉ただこの御宿直所の宮仕へを勤めたまふ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「大殿には…調じ出でたまひつつ」「御息子の君たち…勤めたまふ」:並列