つれづれと降り暮ら 009
つれづれと降り暮らしてしめやかなる宵の雨に 原文 読み 意味 帚木第2章01/源氏物語
つれづれと降り暮らしてしめやかなる宵の雨に 殿上にもをさをさ人少なに 御宿直所も例よりはのどやかなる心地するに 大殿油近くて書どもなど見たまふ
つれづれ/と/ふり/くらし/て/しめやか/なる/よひ/の/あめ/に てんじやう/に/も/をさをさ/ひとずくな/に おほむ-とのゐどころ/も/れい/より/は/のどやか/なる/ここち/する/に おほとなぶら/ちかく/て/ふみ-ども/など/み/たまふ
所在ないまま雨に日が暮れしめやかな宵の雨に、殿上の間もすっかり人少なで、御曹司もいつもよりはのどやかな心地がして、光の君は灯火近くで書物などをご覧になっている。
大構造(に…近くて…見たまふ/三次)& 係り受け
つれづれと降り暮らして しめやかなる宵の雨に 殿上にもをさをさ〈人〉少なに 〈[光源氏]〉御宿直所も例よりはのどやかなる心地するに 大殿油近くて書どもなど見たまふ
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「雨に」(屋外の状況)「人少なに」(屋内の状況)「のどやかなる心地するに」(心の状況):「に」を並記で、リズムとスタイリッシュな形式美が生まれる。
帚木 注釈 第2章01
殿上 02-009
殿上の間。清涼殿の南廂にある殿上人の詰め所。
御宿直所 02-009
光源氏の曹司(桐壺)。「この大臣の御宿直所は昔の淑景舎なり(澪標)」
大殿油 02-009
貴人が使用する灯火。
書 02-009
書物。
ども 02-009
複数あることを示す。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:天候/内裏の様子/光源氏
《つれづれと降り暮らしてしめやかなる宵の雨に》A
所在ないまま雨に日が暮れしめやかな宵の雨に、
《殿上にもをさをさ人少なに・御宿直所も例よりはのどやかなる心地するに》B・C
殿上の間もすっかり人少なで、御曹司もいつもよりはのどやかな心地がして、
《大殿油近くて書どもなど見たまふ》D
光の君は灯火近くで書物などをご覧になっている。
直列型:A<B<C<D:A<B<C<D
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用