さるはいといたく世 帚木01章02

2021-04-18

原文 読み 意味

さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

02002/難易度:☆☆☆

さるは いと/いたく/よ/を/はばかり まめだち/たまひ/ける/ほど なよびか/に/をかしき/こと/は/なく/て かたの-の-せうしやう/に/は/わらは/れ/たまひ/けむ/かし

その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • には笑はれたまひけむかし 三次元構造

さるは 〈[光源氏]〉いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしき〈こと〉はなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

助詞と係り受け

さるは いといたく世を憚り まめだちたまひけるほど なよびかにをかしきことはなくて 交野少将には笑はれたまひけむかし

「さるは」→「(…をかしきことは)なく(て)」


「いといたく世を憚り」「まめだちたまひける」(並列)→「ほど」


「…まめだちたまひけるほど」「なよびかにをかしきことはなく」(並列)→「て」


「なよびかに」「をかしきことは」(並列)→「なくて」

古語探訪

さるは 02002:副詞と接続詞では意味が異なる

接続詞で、前の内容をくつがえす時に用いる。「その実」「実際には」などの意味。前文で、もの言いさがない人が語り伝えたという「忍びたまひける隠ろへごと/02001」に対して、実際にはそんなことはないと切り返してゆく。

いたく 02002

ひどく。

まめだち 02002

まじめな様子。

なよびか 02002

「まめだち」の反対、つやっぽい。

をかしき 02002

興味をひく。

交野少将 02002

散逸した物語の主人公とされており、恋の達人であったことになっている。

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