いであな悲しかくは 帚木05章09
目次
原文 読み 意味
いであな悲し かくはた思しなりにけるよなどやうに あひ知れる人来とぶらひ ひたすらに憂しとも 思ひ離れぬ男聞きつけて 涙落とせば 使ふ人古御達など 君の御心はあはれなりけるものを あたら御身をなど言ふ
02070/難易度:☆☆☆
いで/あな/かなし かく/はた/おぼし/なり/に/ける/よ/など/やう/に あひしれ/る/ひと/き/とぶらひ ひたすら/に/うし/と/も おもひ/はなれ/ぬ/をとこ/ききつけ/て なみだ/おとせ/ば つかふ/ひと/ふるごたち/など きみ/の/みこころ/は/あはれ/なり/ける/もの/を あたら/おほむ-み/を/など/いふ
(左馬頭)なんとまあ悲しいこと、こんなにまでよくもまた思い詰めものですなどと、相知れる人が見舞ったり、ただもうひたすらつらいと、愛情の冷めぬ夫が聞きつけ、涙を落せば、召使や年のいった女房なんかが、旦那さまの御心は情愛に満ちておいででしたのに、もったいなくも御身をお捨てになど言う。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ば…など言ふ 三次元構造
@いであな悲し かくはた思しなりにけるよ@などやうにあひ知れる〈人〉来とぶらひ @ひたすらに憂し@とも 思ひ離れぬ〈男〉聞きつけて 涙落とせば 〈使ふ人古御達など〉 @君の御心はあはれなりけるものを@ @あたら御身を@など言ふ
助詞と係り受け
いであな悲し かくはた思しなりにけるよなどやうに あひ知れる人来とぶらひ ひたすらに憂しとも 思ひ離れぬ男聞きつけて 涙落とせば 使ふ人古御達など 君の御心はあはれなりけるものを あたら御身をなど言ふ
「人来とぶらひ」「男聞きつけて涙落とせ」(並列)→「ば」
「ひたすらに憂しと」→「涙落とせば」
古語探訪
憂し 02070
つらい。
思ひ離れぬ 02070
仲が絶えずにいる。
古御達 02070
年寄りの女房。
あたら 02070
惜しくも。