受領と言ひて人の国 帚木03章03
目次
原文 読み 意味
受領と言ひて 人の国のことにかかづらひ営みて 品定まりたる中にもまたきざみきざみありて 中の品のけしうはあらぬ 選り出でつべきころほひなり
02034/難易度:☆☆☆
ずりやう/と/いひ/て ひとのくに/の/こと/に/かかづらひ/いとなみ/て しな/さだまり/たる/なか/に/も/また/きざみ-きざみ/あり/て なかのしな/の/けしう/は/あら/ぬ えりいで/つ/べき/ころほひ/なり
(頭中将)受領といって地方の政治にかかずらいあくせくして、品は定まり上流には入れぬ中にもまた細かく諸段階があって、中流の位でもまんざらでない玉を、拾い出せる今日この頃です。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ころほひなり 五次元構造
〈受領〉と言ひて 人の国のことにかかづらひ営みて @〈品〉定まりたる中にもまた〈きざみきざみ〉ありて@ 中の品のけしうはあらぬ[女] 〈[世の人]〉選り出でつべきころほひなり
助詞と係り受け
受領と言ひて 人の国のことにかかづらひ営みて 品定まりたる中にもまたきざみきざみありて 中の品のけしうはあらぬ 選り出でつべきころほひなり
「人の国のことにかかづらひ営みて」「品定まりたる中にもまたきざみきざみありて」:並列
「中の品のけしうはあらぬ」(「AのB連体形」/「の」は同格)→「選り出でつべき」の対象
古語探訪
人の国 02034
地方。
品定まりたる 02034
貴族社会のヒエラルキーを支配する位階には得られる地位に限界があり、上流貴族には入れないものの。
きざみ 02034
「品」よりも細分化した区分け。
けしうはあらぬ 02034
まんざら悪くない。