思ひ立つほどはいと 帚木05章08
原文 読み 意味
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
02069/難易度:☆☆☆
おもひたつ/ほど/は/いと/こころ/すめ/る/やう/にて よ/に/かへりみ/す/べく/も/おもへ/ら/ず
(左馬頭)思い立った当座はとても心が洗われた感じがして、すこしも後悔すべくも思われない。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- も思へらず 三次元構造
〈[女]〉思ひ立つほどは いと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
助詞と係り受け
思ひ立つほどはいと心澄めるやうにて 世に返り見すべくも思へらず
「はべりし/02066」「ことなり/02066」「ことなり/02067」「なりぬかし/02068」「思へらず/02069」「など言ふ/02070」「うちひそみぬかし/02071」「見たまひつべし/02072」「漂ひぬべくぞおぼゆる/02073」と短文で現在形が用いられている。事実を積み重ねることで説得力をもたせるゆく語り口である。
「世に返り見すべくも思へらず」:文の終止
古語探訪
思ひ立つ
出家を思い立つ。
世に返り見す
世間に立ちかえる。還俗する。