わが心あやまちなく 帚木05章20

2021-04-18

原文 読み 意味

わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ

02081/難易度:☆☆☆

わが/こころ/あやまち/なく/て/みすぐさ/ば さしなほし/て/も/などか/み/ざら/む/と/おぼエ/たれ/ど それ/さしも/あら/じ

(頭中将)こちらに非がなくて事荒立てないのであれば、無理に性根を叩き直してでも一生添い遂げたいと思うものだが、それはできない相談だ。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • ど…さしもあらじ 四次元構造

〈[男]〉わが心あやまちなくて見過ぐさ さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれ 〈それ〉さしもあらじ

助詞と係り受け

わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ

「それ」:指示語(「さ」と同じく「さし直す」を受ける)と考えても発語の辞と考えても意味的にはかわらない。

古語探訪

見過ぐす 02081

当座は大目に見る。「頼もしげなき疑ひ」をもってすぐに離縁することにしない。

さし直す 02081

無理に矯正する。

などか見ざらむ 02081

反語で、添い遂げるの意味。

それさしもあらじ 02081

人の心を強制して直すことはできない。

〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景

頭中将が諦観に至る曲折

・同じくはわが力入りをし直しひきつくろふべき所なく 心にかなふやうにもや/02052
・ただひたふるに子めきて柔らかならむ人を とかくひきつくろひてはなどか見ざらむ 心もとなくとも直し所ある心地すべし/02059
・すこし後れたる方あらむをもあながちに求め加へじ/02064
左馬頭にことごとく論破された結果、当初から百八十度違う女性観になっている点に注意したい。

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