いと口惜しくねぢけ 帚木05章02
目次
原文 読み 意味
いと口惜しくねぢけがましきおぼえだになくは ただひとへにものまめやかに静かなる心のおもむきならむよるべをぞ つひの頼み所には思ひおくべかりける
02063/難易度:☆☆☆
いと/くちをしく/ねぢけがましき/おぼエ/だに/なく/は ただ/ひとへ/に/もの-まめやか/に/しづか/なる/こころ/の/おもむき/なら/む/よるべ/を/ぞ つひ/の/たのみ-どころ/に/は/おもひ/おく/べかり/ける
(頭中将)ひどく後悔するほど性根のねじけた感じさえなければ、ただもう主婦業に誠実でおだやかな性格の女を、生涯の伴侶には決め置くのがよろしいでしょう。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- をぞ…には思ひおくべかりける 五次元構造
〈[男]〉いと口惜しくねぢけがましき〈おぼえ〉だになくは ただひとへにものまめやかに静かなる心のおもむきならむよるべをぞ つひの頼み所には思ひおくべかりける
助詞と係り受け
いと口惜しくねぢけがましきおぼえだになくは ただひとへにものまめやかに静かなる心のおもむきならむよるべをぞ つひの頼み所には思ひおくべかりける
「おぼえだになくは」→「ただ…よるべをぞ」→「思ひおくべかりける」:大構造
「ただ」→「よるべをぞ」
古語探訪
ねぢけがましき 02063
性格がねじれていること。頭中将の前言「ただひたふるに子めきて柔らかならむ人/02059」を左馬頭との議論から否定。積極的基準から消極的基準に変化。
ものまめやか 02063
「常はすこしそばそばしく心づきなき人のをりふしにつけて出でばえするやうもありかし/02061」とある左馬頭の意見を取り入れたもの。
口惜しく 02063
期待に反したときの感想。
おぼえ 02063
評判。
心のおもむき 02063
性格。
よるべ 02063
伴侶。