忍ぶれど涙こぼれそ 帚木05章11
目次
原文 読み 意味
忍ぶれど涙こぼれそめぬれば 折々ごとにえ念じえず 悔しきこと多かめるに 仏もなかなか心ぎたなし と見たまひつべし
02072/難易度:☆☆☆
しのぶれ/ど/なみだ/こぼれ-そめ/ぬれ/ば をりをり/ごと/に/え/ねんじ/え/ず くやしき/こと/おほか/める/に ほとけ/も/なかなか/こころぎたなし と/み/たまひ/つ/べし
(左馬頭)こらえてもいったん涙がこぼれてしまうと、なんぞことあるごとに我慢しきれず、後悔することも多かろうゆえ、仏も尼になったのにかえって未練がましいときっとご覧になるでしょう。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- に…も…と見たまひつべし 五次元構造
〈[女]〉忍ぶれど〈涙〉こぼれそめぬれば 折々ごとにえ念じえず 〈悔しきこと〉多かめるに 〈仏〉もなかなか心ぎたなしと 見たまひつべし
助詞と係り受け
忍ぶれど涙こぼれそめぬれば 折々ごとにえ念じえず 悔しきこと多かめるに 仏もなかなか心ぎたなし と見たまひつべし
「なかなか心ぎたなし」は女に対して、仏がそう思うということ。
古語探訪
なかなか 02072
出家したからには、世間のことを忘れて仏道に励むべきなのに、出家したことがかえって徒になってくよくよすること。
心ぎたなし 02072
未練、思い切りが悪い。