されど何か世のあり 帚木04章08
目次
原文 読み 意味
されど何か 世のありさまを見たまへ集むるままに 心に及ばずいとゆかしきこともなしや 君達の上なき御選びには ましていかばかりの人かは足らひたまはむ
02054/難易度:☆☆☆
されど/なに/か よ/の/ありさま/を/み/たまへ/あつむる/まま/に こころ/に/およば/ず/いと/ゆかしき/こと/も/なし/や きむだち/の/かみ/なき/おほむ-えらび/に/は まして/いかばかり/の/ひと/かは/たらひ/たまは/む
(左馬頭)とはいえどうでしょう、わたくしも男女の実態をあれこれ見てまいりましたが、想像にあまるほどまったくうらやましい例などありませんな。若君がたの最上のお選びにはましてどのような女性がふさわしくいらっしゃるやら。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- もなしや 二次元構造|には…の…かは足らひたまはむ 一次元構造
されど何か 〈[私=発言者]〉世のありさまを見たまへ集むるままに 心に及ばずいとゆかしき〈こと〉もなしや |君達の上なき御選びには ましていかばかりの〈人〉かは足らひたまはむ
助詞と係り受け
されど何か 世のありさまを見たまへ集むるままに 心に及ばずいとゆかしきこともなしや 君達の上なき御選びには ましていかばかりの人かは足らひたまはむ
古語探訪
何か 02054
発語の辞で、独り言。「何か…なしや」で呼応関係と考えることもできる。
〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景
視点の移動と物語の進行 02054
光源氏に話題が振られることで、聞き手の意識はまた藤壺に向けられる。頭中将は男側の問題は棚上げにして、この後しばらく女性の欠点について問題にする。