常はすこしそばそば 帚木04章15
目次
原文 読み 意味
常はすこしそばそばしく心づきなき人の をりふしにつけて出でばえするやうもありかしなど 隈なきもの言ひも 定めかねていたくうち嘆く
02061/難易度:☆☆☆
つね/は/すこし/そばそばしく/こころづきなき/ひと/の /をりふし/に/つけ/て/いでばエ/する/やう/も/あり/かし/など くまなき/ものいひ/も さだめかね/て/いたく/うち-なげく
(左馬頭)普段はすこしすげすげしてて人好きしない女が、何かの折節公の場で才能を発揮することもあるものですしなどと、左馬頭は一点の曇りもないもの言いながら、頭中将は妻選びの要件を定めかねてひどくため息をつく。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- も定めかねて…うち嘆く 五次元構造
常はすこしそばそばしく心づきなき〈人〉の をりふしにつけて出でばえする〈やう〉もありかしなど 〈[左馬頭]〉隈なきもの言ひも 〈[頭中将]〉定めかねていたくうち嘆く
助詞と係り受け
常はすこしそばそばしく心づきなき人の をりふしにつけて出でばえするやうもありかしなど 隈なきもの言ひも 定めかねていたくうち嘆く
「人のをりふしにつけて出でばえする」:Aの連体形(主格「の」)
古語探訪
そばそばしい 02061
よそよそしい。
心づきなき 02061
愛情を感じにくい。
出でばえ 02061
公の場で映える。
隈なきもの言ひ 02061
先に、頭中将の発言に対しては「隈なげなる気色」とあった。「げ」には似て非なるのニュアンスがある。ここは明快な論説であることを意味する。
定めかねて 02061
「中将待ちとりてこの品々をわきまへ定め争ふ/02030」を受ける。
〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景
話者の変わり目 02061
「ひたふるに子めきて柔らかならむ人/02060」と対照的な女性。左馬頭に話者が変わったことを表す。