またまめまめしき筋 帚木04章12
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:美さうなき家刀自/発言者(左馬頭)/思いやりある妻
分岐型・中断型・反復型:A→(/B→/C~CD→E→)F→G→H:A→F→G→H、B、C~CD→E→F
《またまめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき家刀自のひとへにうちとけたる後見ばかりをして》A
また一方で、実直一点張りに髪を耳に挟みがちにして美しく顔づくることもない主婦が、ひたすら無遠慮な世話焼きばかりをして、
《朝夕の出で入りにつけても公私の人のたたずまひ善き悪しきことの目にも耳にもとまるありさまを疎き人にわざとうちまねばむやは》B
朝な夕な出仕の行き帰りにつけても、公私にわたる世人の様子よかれあしかれ耳目にとまった諸事情を、仲のよくない女にわざわざ打ち明けたりするでしょうか、
《近くて見む人の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばやと》C
身近に暮らし聞き分け思いやりのある妻にこそ語りかけたいものなのに、
《うちも笑まれ涙もさしぐみもしはあやなきおほやけ腹立たしく心ひとつに思ひあまることなど多かるを何にかは聞かせむと・思へば》D・E
つい笑えることでも泣かれることでも、あるいは非道のあまり公憤を覚え胸先ひとつにおさめておけないことなど多々あるものを、
《うちそむかれて人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ・あはれともうち独りごたるるに》F・G
どうかして語り聞かせようと思えば、決まってそっぱを向かれこちらの知り得ない思い出し笑いを浮かべられては、ああとため息も出ようものなのに、
《何ごとぞなどあはつかにさし仰ぎゐたらむは・いかがは口惜しからぬ》H・I
なんですのなどと間抜けた顔でこっちをふり仰ぎでもしようものなら、何とまあ情けないことでしょう。
- 〈直列型〉→:修飾 #:倒置
- 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
- 〈中断型〉//:挿入 |:文終止・中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
- 〈分配型〉A→B*A→C
A→B:AはBに係る
Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
※直列型は、全型共通のため単独使用に限った