うち合ひてすぐれた 帚木03章08
〈テキスト〉を紡ぐ〈語り〉の技法
中止法とは 02039
中止法を中にはさんだ一文「A|B」と二つの文「A B」とは、情報の流れとしては「A=A、B=B」で変わりはない。しかし、中止法は「前の情報より後の情報が重要である」とのメッセージをふくむのに対して、二つの文に情報の優劣はない。この点、両者は様相を異にする。
中止法は慣性の法則と考えるとわかりやすい。それまで情報が流れていたものが、急にブレーキがかかるので前につんのめる。情報は移動しないが、重心が前方に移動する分、情報の重要度が増すのである。文学的表現では余韻という。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:その娘/発言者(頭中将)
分岐型・中断型:A→|B→C+D:A、B→C+D
《うち合ひてすぐれたらむもことわり》A
立ち居も気品も家柄に似つかわしいく上々なのが世のことわり、
《これこそは・さるべきこととおぼえて・めづらかなることと心も驚くまじ》B・C・D
これなどはそうあるのが当然と思われるから、めずらしいことだと心中驚くにあたらない。
- 〈直列型〉→:修飾 #:倒置
- 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
- 〈中断型〉//:挿入 |:文終止・中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
- 〈分配型〉A→B*A→C
A→B:AはBに係る
Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
※直列型は、全型共通のため単独使用に限った