片端づつ見るにかく 帚木02章06
原文 読み 意味
片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ
02014/難易度:★☆☆
かたはし-づつ/みる/に かく/さまざま/なる/もの-ども/こそ/はべり/けれ/とて こころあて/に それ/か/かれ/か/など/とふ/なか/に いひあつる/も/あり もてはなれ/たる/こと/を/も/おもひよせ/て/うたがふ/も/をかし/と/おぼせ/ど ことずくな/にて/とかく/まぎらはし/つつ とり/かくし/たまひ/つ
ちらちら拾い読みしながら、よくまあいろいろな手紙があるものですねと言って、当て推量で、あの人の、それともあの方のなどと問ううちに言い当てたのもあり、お門違いな状況までも想定して勘ぐるのも興味こそわいたが、言葉少なにとかくはぐらかしながらとり隠してしまわれた。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ど…言少なにて…紛らはしつつとり隠したまひつ 五次元構造
〈[頭中将]〉片端づつ見るに @かくさまざまなる〈物ども〉こそはべりけれ@とて 心あてに @それかかれかなど@問ふなかに 言ひ当つるもあり @もて離れたることをも思ひ寄せて〈疑ふ〉もをか しと思せど@ 〈[光源氏]〉言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ
助詞と係り受け
片端づつ見るに かくさまざまなる物どもこそはべりけれとて 心あてに それかかれかなど問ふなかに 言ひ当つるもあり もて離れたることをも思ひ寄せて疑ふもをかしと思せど 言少なにてとかく紛らはしつつ とり隠したまひつ
「疑ふ」は緑だが、「言ひ当つるもあり」と揃えるために青とした。
「言ひ当つるもあり」:連用中止法
「怨ずれば/02012」→026「言少なにてとかく紛らはしつつとり隠したまひつ」
古語探訪
片端づつ見る 02014
手紙の全文を読まずに、部分部分を流し読みすること。
心あて 02014
当てずっぽう。
疑ふもの「も」 02014
この「も」は「言いあつるもあり」の「も」を受ける。後には「ありて」などの省略がある。