下のきざみといふ際 帚木02章20
目次
原文 読み 意味
下のきざみといふ際になれば ことに耳たたずかしとて いと隈なげなる気色なるもゆかしくて
02028/難易度:☆☆☆
しも/の/きざみ/と/いふ/きは/に/なれ/ば ことに/みみ/たた/ず/かし/とて いと/くまなげ/なる/けしき/なる/も/ゆかしく/て
(頭中将)下の位という身分になると、特に耳を立てる気になれないからと、えらく分け知り顔をしているのもおもしろくて、
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- もゆかしくて 四次元構造
@〈[女]〉下のきざみといふ際になれば ことに〈[男の]耳〉たたずかしとて@ 〈[頭中将]〉いと隈なげなる気色なるも〈[光源氏]〉ゆかしくて
助詞と係り受け
下のきざみといふ際になれば ことに耳たたずかしとて いと隈なげなる気色なるもゆかしくて
「耳立たず」は自動詞。男の耳のアンテナが動かないことを言う。主語は殿方。
古語探訪
隈なげなる 02028:隈なきもの言ひと対比的
暗いところのない、すべてを知りつくした、と解釈されているが、後の左馬頭の論に対して「隈なきもの言ひ/02061」とあり、これと対比して使用されている。「げ」とあるので、一見そうだが、本当はそうでない、見かけ倒し、とのふくみを見逃してはならない。
きざみ 02028
上の品、中の品、下の品、という品の区分よりも細分化した区分。ただし、ここは「下の品」と同意で用いられていると見てよい。
気色 02028
様子。
ゆかしくて 02028
知りたいの意味。