年ごろ常の篤しさに 025 ★☆☆

何年来ご不調が常のご様子でいらっしゃったために、見慣れておいでの帝は、もうしばらく様子をみよとだけお命じになられるが、病態は日に日に悪化し、わずか五六日のうちにひどく衰弱してしまわれたので、母君が泣く泣く帝に奏上し、退出なされるように ...
かかる折にも ある 026 ★☆☆

そうした折りにも東宮権に障るような不面目が起きてはと案じて、御子を帝のもとにお留め申して、涙をのんで局(つぼね)を後になさるのです。
限りあれば さのみ 027 ★☆☆

決まりがあることなので、そう留め置くこともおできになれず、帝は病状を見届けてやれないもどかしさを言葉にできぬほどつらくお悔やみにでした。
いとにほひやかにう 028 ★★★

とても艶やかでかわいらしいお方が、ひどく面やせて、ああつらいと運命をしみじみ感じながらも、言葉に出して申し上げることもできず、生死もつかず消え入りそうにしていらっしゃるご様子をご覧になるにつけ、後先のわきまえもなく、どんな誓いをも涙な ...
輦車の宣旨などのた 029

輦車の宣旨などご発令になってもまた桐壺にお入りになってそれ以上はいっかなお許しにならない。