わかみやのおほむこひしさのみおもほしいでつつ・若宮の御恋しさのみ思ほし出でつつ・わかみやのおほむこいしさのみおもほしいでつつ・思ほし出づ 01-049

「若宮を恋しく思ほし出でつつ」と同義であろう。前の「一の宮」に合わせて名詞句にしたものと考えられる。
一の宮を見たてまつらせたまふにも 若宮の御恋しさのみ思ほし出でつつ 親しき女房御乳母などを遣はしつつ ありさまを聞こし召 ...
いとさうざうしくうへのおほむありさまなどおもひいできこゆれば・いとそうぞうしくうへのおんありさまなどおもいいできこゆれば・いとさうざうしく主上の御ありさまなど思ひ出できこゆれば・いとそうぞうしく主上の御ありさまなど思い出できこゆれば 01-079

「さうざうし」はあるはずのものがなくなった喪失感からくる寂しさ、索漠とした感覚。「いとさうざうしく思ひ出できこゆれ」(形容詞の連用形+思ふ)は思い出す内容が「さうざうし」。帝のご権勢や内裏の華々しさなど、それらから離れていることがいか ...
おひいで 01-089

大きく育って表面にでる。成長する意だが、頭角を現すこともふくむであろう。
かくてもおのづから 若宮など生ひ出でたまはば さるべきついでもありなむ 命長くとこそ思ひ念ぜめなど のたまはす
こうなった今でも自然と、 ...
なきひとのすみかたづねいでたりけむ 01-090

長恨歌の詩句による。楊貴妃の魂のありかを訪ねて、道士が仙界まで赴いた。そこで楊貴妃と出会った証拠に金の釵を持ち帰る。
かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし
なつかしうらうたげなりしをおぼしいづるに 01-093

親しみやすく愛らしい様子を思い出されるにつけ。「なつかしう」は心が近づきやすい。「らうたげ」は可憐な。
大液芙蓉未央柳も げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ なつかしうらうたげなりしを思し出づるに ...