よろづのものをこころにまかせてつくりいだすも 02-086

2021-01-14A:解釈を決定づける基幹語,こころ・心,もの・物

どんなものであれ心任せに作り出す場合でもの意味で、以下二つのケースに分けて論をすすめる。一つは空想の産物、今ひとつは実世界にモデルを見いだし得る作品。心にまかせは母集合、空想の産物とモデルを探せる作品はその部分集合である。


木の道の匠のよろづの物を心にまかせて作り出だすも 臨時のもてあそび物の その物と跡も定まらぬは そばつきさればみたるも げにかうもしつべかりけりと 時につけつつさまを変へて 今めかしきに目移りてをかしきもあり 大事として まことにうるはしき人の調度の飾りとする 定まれるやうある物を難なくし出づることなむ なほまことの物の上手は さまことに見え分かれはべる

(左馬頭)指物師の匠が、様々な物を心にまかせて作り出す場合でも、一回切りの賞玩物でこうだと作り方に決まりがない時には、一見ふざけた印象にもなるものでも、なるほどこんな風にも仕上がるものかと、時々に合わせて趣向を変え、今風の感覚に目移りして興味を引くこともあるが、大事の品として誠に厳格な人が調度の飾りにする、形式の定まった品物を欠陥なく仕上げる場合こそ、やはり真に評価の定まった名人では、仕上がりに歴然と差が出るものです。