ひとのこころ・人の心 01-004

周囲の人の気持ち。「人」は人間一般をさすのではなく、あれやこれやと特定できる人々を指す。ここでは、女御や更衣やそのお付きの女房たち。その中心は弘徽殿の女御。
朝夕の宮仕へにつけても 人の心をのみ動かし 恨みを負ふ積もりにや ...
いとまばゆきひとのおほむおぼえ・いとまばゆき人の御おぼえ・いとまばゆき人の御覚え 01-005

「人」は桐壺更衣。更衣といわずに一般化した表現。皮肉がこもる。「の」は「御おぼえ」の対象(目的格)。「まばゆき」は「御おぼえ」に係る。「まばゆき」は強い光源に向かって正視できない状態。気おくれ・反感・劣等感などの心理作用をうながす。帝 ...
ひと・人 01-005

上達人や上人が帝の側近として補佐する役割を担うのに対して、この人は一般化されることで帝からの距離を置く人と読むことができる。さらに、同じ人物であっても、帝の前にいる場合は側近として働くため帝を公然と批判できないが、陰にまわった場合には ...
いにしへのひと・いにしへの人・いにしえのひと・いにしえの人・古のひと・古の人 01-006

家柄が古いのほかに、後に述べられる彼女の言動からして、考え方がふるい・頑迷など否定的意味をも含んだ言葉(ダブル・ミーニング)であるように思われる。
父の大納言は亡くなりて 母北の方なむいにしへの人のよしあるにて 親うち具し ...
ひとよりさきにまゐりたまひ・ひとよりさきにまいりたまい・人より先に参りたまひ・人より先に参りたまい・人より先に参り給ひ・人より先に参り給い・人より先に参り給ふ 01-013

宮廷へ参内する。東宮の母である弘徽殿の女御が誰より早く、帝に入内したこと。すなわち、この女は帝の最初の女であるという特別な地位にある。童貞であったかどうかは別。乳母などによって教育されることが多い。
人より先に参りたまひて ...