朝夕の宮仕へにつけ 004 ★☆☆

朝夕の宮仕えにつけても、女房たちの心を掻き乱し、恨みをこうむることが度重なったせいだろうか、具合はひどくなるばかりで、後見のない心細さに打ちひしがれながら里へ帰りがちになる姿に、帝はますます癒しようもなく愛しさをつのらせ、周囲がもらす ...
先の世にも御契りや 007

先の世でも帝とのご縁が深かったのであろうか、この世にない気品のそなわった玉のような御子までお生まれになった。
限りあれば 例の作 038 ★★☆

規則のあることだから作法どおりに葬って差し上げるが、母君は同じ煙に乗ってあの世へ行ってしまいたいと泣きこがれになり、葬送の女房の車に無体にお乗りになって、愛宕というおごそかに葬儀が執り行われている土地へお着きになったお心持ちは、どのよ ...
かの贈り物御覧ぜさ 090

命婦は例の贈り物をご覧に入れた。亡くなった楊貴妃の住みかを尋ね当てたという目印の釵(かんざし)であったなら、と帝は願われたがこれも誠に詮ないことでした。
絵に描ける楊貴妃の 092

絵に描かれた楊貴妃の容姿は、すぐれた絵師であっても筆力には限界があるのでまことに生気に乏しく、