ひとのこころ・人の心 01-004

周囲の人の気持ち。「人」は人間一般をさすのではなく、あれやこれやと特定できる人々を指す。ここでは、女御や更衣やそのお付きの女房たち。その中心は弘徽殿の女御。
朝夕の宮仕へにつけても 人の心をのみ動かし 恨みを負ふ積もりにや ...
ものこころぼそげに・物心細げに・もの心細げに/ものこころぼそげなり・物心細げなり・もの心細げなり 01-004

「もの」は「なんとなく」の意を添える接頭語的役割と注されることが一般的だが、「もの」は「人」と対立し、動かしがたさ、でんと居座るニュアンス。「心細げ」は、漠然とした不安ではなく、後見がないことに対する孤独感・将来不安。
朝 ...
こころばへ・こころばえ・心ばへ・心ばえ 01-005

心映えのことで、気持ちが相手に向かう様で、思いやりや愛情を言う。
上達部上人などもあいなく目を側めつつ いとまばゆき人の御おぼえなり 唐土にもかかる事の起こりにこそ世も乱れ悪しかりけれ と やうやう天の下にもあぢきなう人の ...
こころぼそげなり・心細げなり・心細気なり 01-006

後見がいないことからくる将来不安
父の大納言は亡くなりて 母北の方なむいにしへの人のよしあるにて 親うち具しさしあたりて世のおぼえはなやかなる御方がたにもいたう劣らず なにごとの儀式をももてなしたまひけれど とりたててはか ...
こころもとながらせたまひ・こころもとながらせたまい・心もとながらせたまひ・心許ながらせたまい・心許ながらせ給ひ・心もとながらせ給い/こころもとながらせたまふ・こころもとながらせたまう 01-008

「心もとなし」+「せたまふ」(最高敬語)。「心もとなし」は、情報が少ないために、気ばかりがせいてならない。
いつしかと心もとながらせたまひて 急ぎ参らせて御覧ずるに めづらかなる稚児の御容貌なり
今か今かと帝は ...