限りあれば 例の作 038 ★★☆

規則のあることだから作法どおりに葬って差し上げるが、母君は同じ煙に乗ってあの世へ行ってしまいたいと泣きこがれになり、葬送の女房の車に無体にお乗りになって、愛宕というおごそかに葬儀が執り行われている土地へお着きになったお心持ちは、どのよ ...
むなしき御骸を見る 039 ★☆☆

虚しくなった亡骸(なきがら)をこの目にしながらも、なおも生きていらっしゃるものと思うのは甲斐がないので、灰におなりになるのを見申し上げて、今は帰らぬ人ときっぱり思い切ろうと、心とは裏腹に気丈に挨拶なされたが、牛車より降りる際に転げ落ち ...
はかなく日ごろ過ぎ 046

はかなく日が経ち、七日七日の法事などにもねんごろに弔問の使者をお立てになった。
七つになりたまへば 113

七歳におなりなので、読書初めなどをおさせになったところ、世に類なく聡明で並外れた知力をお持ちなので、帝はあまりなことに空恐ろしいとまで御覧になった。
わざとの御学問はさ 118

漢詩文など正式な学問はもとより、琴や笛の音色でも評判は宮中に響き渡り、美点をすべて並べつづけると仰々しく疎ましく思えてしまうそんなご様子でした。