朝夕の宮仕へにつけ 004 ★☆☆

朝夕の宮仕えにつけても、女房たちの心を掻き乱し、恨みをこうむることが度重なったせいだろうか、具合はひどくなるばかりで、後見のない心細さに打ちひしがれながら里へ帰りがちになる姿に、帝はますます癒しようもなく愛しさをつのらせ、周囲がもらす ...
先の世にも御契りや 007

先の世でも帝とのご縁が深かったのであろうか、この世にない気品のそなわった玉のような御子までお生まれになった。
その年の夏 御息所 024

その年の夏、御息所は死を予感するほどに病んで里に下がろうとなさるが、帝はいっこうに暇を与えようとなさらない。
御使の行き交ふほど 034 ★☆☆

付き添った使者が戻る時間でもないのに気詰まりをとめどなく口になさっておられたところ、夜中少しまわった頃、命が絶えてしまわれたと女房たちが泣き騒ぐので、使者もどうにもならず宮中に戻って来た。
御子はかくてもいと 036

御子のことはこんな場合でもご覧になっていたいと強くお望みだが、母の喪中に帝のお側にお仕えする前例はないことなので、ご退出の運びとなる。