おぼえいとやむごと 011 ★★☆

帝からの引きはこれ以上にないほどで女御の風格をお備えでしたのに、帝がむやみと側にお留になるばかりに、立派な管絃の会の折りや格式あるどんな行事にも真っ先にこの方をお召し上げになる、時には共寝したまま起きそびれそのまま側仕えをおさせになる ...
御局は桐壺なり 015

お部屋は桐壺です。
あまたの御方がたを 016★★★

あまたのご夫人方の局を通り過ぎて間断がない、そうした帝の使者のお通いに、女性達が心をすり減らしになるのも、まことにもっともだと思えました。
参う上りたまふにも 017 ★☆☆

更衣から帝のもとへ参上なさる場合にも、あまりたび重なる折りには、廊下の掛け橋や渡り廊下のそこここに、汚らわしい仕掛けをしては、送り迎えに立つ女官の裾は、耐えがたく今宵の段取りが台無しになることもしばしばで、
またある時には え 018 ★☆☆

またある時には、御前へ上がる際避けては通れない馬道の戸を、両側から締め立て、あちらとこちらで示し合せて立ち往生させることも度々でした。