初めより おしなべ 010

もとより帝の側仕えのような雑事をしなければならない身分ではございませんでした。
おぼえいとやむごと 011 ★★☆

帝からの引きはこれ以上にないほどで女御の風格をお備えでしたのに、帝がむやみと側にお留になるばかりに、立派な管絃の会の折りや格式あるどんな行事にも真っ先にこの方をお召し上げになる、時には共寝したまま起きそびれそのまま側仕えをおさせになる ...
この御子三つになり 021

この御子が三才におなりの年、御袴着の儀式は、第一皇子がなさったものに劣らず内蔵寮(くらづかさ)や納殿(おさめどの)の財貨を尽くして、盛大に催されました。
もの思ひ知りたまふ 043

ものごとをしっかりと判断なさる女御方は、姿や顔立ちの美しかったこと、気立てが穏やかで欠点がなく憎めなかったことなどを今になって懐かしく思い出しになった。正視に耐えない帝のご寵愛ゆえ心なくそねんだりもされたのだろうか。
人柄のあはれに 情 044

人柄がよく情愛こまやかなあの方の御心を、帝つきの女房たちも恋いしのび合うのだった。