うへつぼね うえつぼね 上局 01-019
普段住んでいる局(下局、里の局とも)に対して、帝がおられる清涼殿に上がる際の清涼殿に隣接する控えの間。これが与えられるのも特別待遇である。なお、もとの桐壺は局として継続使用されるゆえ、更衣の呼び名は桐壺のままである。桐壺更衣の死後、成長した光の君は、内裏に泊まる際には、この局を自分の部屋として使用する。
事にふれて数知らず苦しきことのみまされば いといたう思ひわびたるを いとどあはれと御覧じて 後涼殿にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司を 他に移させたまひて上局に賜はす
ことに触れ数しらず苦しいことばかりがいや増すので、それはもうひどく思い悩んでいらっしゃるのを、帝はますます愛情深くお思いになって、後涼殿に元からお仕えである更衣を、よそにお移しになり、空いた部屋を桐壺の上局として下賜なさいました。