ふるごたち 古御達 02-070

2021-05-25

年寄りの女房。


いであな悲し かくはた思しなりにけるよなどやうに あひ知れる人来とぶらひ ひたすらに憂しとも 思ひ離れぬ男聞きつけて 涙落とせば 使ふ人古御達など 君の御心はあはれなりけるものを あたら御身をなど言ふ

(左馬頭)なんとまあ悲しいこと、こんなにまでよくもまた思い詰めものですなどと、相知れる人が見舞ったり、ただもうひたすらつらいと、愛情の冷めぬ夫が聞きつけ、涙を落せば、召使や年のいった女房なんかが、旦那さまの御心は情愛に満ちておいででしたのに、もったいなくも御身をお捨てになど言う。

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