まかでさせたまふ 罷でさせたまふ まかでさせたまう 罷でさせたまう 罷でさせ給ふ まかる まかづ 罷る 罷づ 01-166

2021-06-11

主語を源氏の君とする説がある。源氏の君に対して最高敬語はありえないので「させ」は使役となり、帝が行くように仕向けと解釈する以外にないかが前後の文脈から補足しておく。「もののつつましきほどにて/01-156」とあり、ひどく恥じらっていたとする描写があるからには、左大臣邸に主体的に行ったとはとりずらい。内裏というトポスは帝の意思を第一義的に考える空間であり、光源氏も語り手もその制約の中にある。さらに「幼きほどの心一つにかかりていと苦しきまでぞおはしける/01-156」とあり、これは葵の上と結ばれた以後の描写ではあるが、藤壺への思慕は葵の上との初夜における光源氏の行動にも深く影響していたと考えるのが自然であろう。


その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ

その/よ おとど/の/おほむ-さと/に げんじ-の-きみ/まかで/させ/たまふ

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