こころことに 心ことに 心異に 心殊に こころことなる こころ異なる 心異なる 01-012
特別に。具体的には、弘徽殿の女御に以下の疑念を抱かすのであるから、第一夫人(最初に入内した夫人)を差し置いて、正妻扱いをしたと考えられる。なお、正妻はまだ決定されていない。女御の中から正妻が一人ないし二人(皇后と中宮、両者に優劣はない)選ばれることになっている。皇太子が決まれば、公的な手続きを踏んだ上で、自ずとその母親が正妻となる。「心ことに思ほしおく」は「おのづから軽き方にも見えしを/01-011」を受けるので、「思ほしおく」の対象は桐壺更衣であって、御子と考えるのは誤りである。
この御子生まれたまひて後は いと心ことに思ほしおきてたれば 坊にもようせずはこの御子の居たまふべきなめりと 一の皇子の女御は思し疑へり
この御子がお生れになってからは正妻のように格別の計らいをなされたために、皇太子へもことによると、この御子がお立ちになるやもと第一皇子の母の女御は危惧なさっておられました。