いたり 至り いたる 至る 02-060
行き届き。
げにさし向ひて見むほどは さてもらうたき方に罪ゆるし見るべきを 立ち離れてさるべきことをも言ひやり をりふしにし出でむわざのあだ事にもまめ事にも わが心と思ひ得ることなく深きいたりなからむは いと口惜しく頼もしげなき咎や なほ苦しからむ
(左馬頭)なるほど差し向かいで暮らす間は、至らぬ点もかわいさに免じ大目にも見れましょうが、離れ離れでは大事なことも人づてになり、時節時節欠かせぬことなんかでも私的であれ公ごとであれ、自分の問題として考えようとせず心遣いが行き届かないのは、何とも情けなく頼みにならない難点であって、やはり心配の種でしょうな。