うちのおほむものいみ 内裏の御物忌 02-005
帝の物忌みで、宮中全体が謹んで部屋に籠る。光源氏も自分の曹司である桐壺の局でじっとしている。
長雨晴れ間なきころ 内裏の御物忌さし続きて いとど長居さぶらひたまふを 大殿にはおぼつかなく恨めしく思したれど よろづの御よそひ何くれとめづらしきさまに調じ出でたまひつつ 御息子の君たちただこの御宿直所の宮仕へを勤めたまふ
長雨が晴れる間もない時節、内裏の物忌みがうち続いていつにもまして長居なさるのを、大臣方では待ちわびて恨めしくお思いであったが、それでもご装束万端どれもふたつとないような仕立てに誂えておあげになり、ご子息たちの方ではただこの君の御曹司にばかり出仕なされた。