うちのたまはせ うちのたまわす うち宣はせ うち宣わす 01-088
「うち」とあるので、つい口に出た。「言ふかひなしや」の部分がついため息交じりに口をついたのであろう。
故大納言の遺言あやまたず 宮仕への本意深くものしたりしよろこびは かひあるさまにとこそ思ひわたりつれ 言ふかひなしやと うちのたまはせて いとあはれに思しやる
故大納言の遺言をあやまたず宮仕えの宿願を堅く守ったことへの返礼は、甲斐あるものにとずっと思って来たが、そうは言っても詮ないことよと、ぽつりとおっしゃって桐壺の生涯を不憫にお思いやりになる。